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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第1章 ~始まりの森~
「サクの香りは堪んない。嫌な心が洗われる気持ちになる、次第に厭らしい気持ちになるのが難点だけどな」
「…………なら、離れたほうがいいんじゃない?」
「んー、そうなんだよな。わかってるけどさ…………心地良いし……ハァ」
サクナはフッと表情を緩める、ルカの腰に手を回し体重を乗せ頭を埋める。
「まあ、わからなくもないけどね」
香りを嗅ぎ分ける能力、一部の術者にだけ与えられた特殊な力。
愛の言葉など必要ない。
香りが惹きつけるから…………だから、サクナはルカに惹かれる。
香りの相性は術者にとって重要なことだった。
心地よくて、気が高まる。安らぎを与え、時に甘い感情を引き出す。
「なあサク、続きしよっか?」
「え、ここではしないって」
「そんなのバレなきゃいいんだよ」
「…………あんなに厳しく言ったくせに、それはどうかと思うよ?」
「じゃあ、寝室行く? あっちに行ったらもう止めないぞ?」
「だめよ、執事長がくるって言ってたし」
「…………ちぇっ、サクのケチ」
────ちぇっ……って、陛下とは思えない。
ルカ様ってまだ私の知らない部分があるんだ、ちょっと可愛いかも。