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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第1章  ~始まりの森~

 ────ルカは祈り姫として必要だと言ってくれる。それがみんなの言う『それだけの事』の意味がわからない。
 こんな姿を見せてくれるのがダメなことなのだろうか。私は嬉しいけどな────


 陛下として優雅で優しく大きな包容力、そして決断する心強さ。そのルカは誰もが認める陛下として存在意義。

 だが、ときおり見せるルカの意地悪なところや欲望に正直なところもルカの魅力だと思う。

 正直、多少戸惑いや困惑をしてしまうが。
 

 サクナはルカを知るたびドンドン好きになる。
 これが『恋』なのかも知れない。サクナは初めてその気持ちを知った。


 補佐官を始めとする貴族の娘たちはサクナを陛下の妃と認めてはくれないだろう。
 教養も知識もないただの村娘だから。気品も優雅さも持ち合わせていない。

 だが、知ってしまった。
 ルカの甘い香りにサクナは惹かれた。

 惹かれあう香りは、最良のパートナーであることを意味する。香りの相性は術者にとって最も重要なことだった。


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