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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第1章 ~始まりの森~
「ルカ様。私どうしたらいい? 陛下の妃になるって良くわからないし」
「ん? なら、まずは俺のこと敬称で呼ぶな、ふたりきりの時とケイルの前ではいいだろ?」
兄であるケイルは陛下の従者で近侍。
だけどケイルも陛下のことを敬称を付けずに呼ぶ。
サクナがルカ様と呼ぶことを補佐官を始めとする他の王族や貴族もよく思っていない。
だが、どうやらルカは敬称で呼ばれる事を嫌うフシがある。他の者には強要しないが、サクナとケイルには強要した。
さすがのサクナも呼び捨ては出来なく敬称をつけて呼ぶことに妥協してくれたのだが。
「そんなに、気になる?」
「なら、俺もお前の事、姫様って呼ぶぞ?」
「あ……それは………」
陛下が下の者に様はまずおかしい、加えてやはり呼ばれなれた『サク』と愛称で呼ばれるほうが嬉しいかもと思う。
女性が男性を呼び捨てにするのはかなり抵抗がある。しかし、ルカはそれを望む。
「本当に怒らない?」
「なんで怒るんだよ」
「だって、偉そうじゃない?」
「それは偏見だろ。俺とサクは同じ人じゃないか」
「…………まあ、そうだけど…………」