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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第12章 ~affection~

「ま、そうなのかもな。俺、夏生まれだし」
ルカの誕生日は、ユリウスのはじまり日。
その何日も前から誕生祭を行い、サクナが社交デビューする舞踏会もその一つ。
挙式はルカの誕生日に行うことになっている。
「やっと……だな」
「……うん、長いようであっという間だったね」
「俺にとってはすごく長かった」
その時見せたルカの透き通った夏の青空のような蒼い瞳が、何故か雨に濡れた子犬のような寂しげな表情に見えた。
────あ……れ、この瞳……何処かで
この国では蒼い瞳は珍しくもない。
なのに、どうして忘れてたんだろう。
目を惹くような綺麗な瞳なのに、悲しい色に見えた。不思議な少年の瞳はルカと同じだ。

