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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第13章 ~花嫁の苦悩~
「姫様。足元を見ずに正面を向いてください」
サクナは、うっ、と呻き声をあげる。
足がおぼつかないせいか気になってしまう。
正面を見るとヴィストーターが、こちらを見ていた。
「姫様。笑顔を…………ひきつってます」
「執事長、笑わないでください」
ゆっくりと、一歩づつ歩くだけなのに、これほど大変なこととは。
大聖堂の凛とした空気がそうさせるのか、サクナは一度息を吐き呼吸を整え、笑顔で歩き始める。
「…………いっそのこと普通で宜しいかと」
「そ、そんなにヒドイですか?」
「ええ、鬼気迫る感じが…………」
そうこうしてる間にヴィストーターの近くまで辿り着く。