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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第13章  ~花嫁の苦悩~

 頬を持ち上げ爽やかな笑顔を向けるヴィストーター。

 奇しくも、サクナとヴィストーターは理想の男女の身長差だった。背の小さいサクナは高いヒールを履いてるため、ルカより少し低めの彼と顔が近い。


「当日はたくさんの人がこの大聖堂に埋め尽くされる、だいじょうぶ? このぐらいで緊張してて」

「…………冗談ならおやめ下さい」

 からかわれてるのかも知れない。
 サクナはおずおずと、ヴィストーターの胸に手を置き身体を離して欲しいと訴える。


「本気ならいいのですか?」

「……やっ……へ、陛下に怒られますからっ!」

 グッと胸を強く押すもビクリと動かない。
 サクナはレオナールに教えてもらったやんわりと断る方法を叫んだ。

 これを言えば血迷った男性は血の気がひくと。

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