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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第13章  ~花嫁の苦悩~


 ちゅっ、とリップ音をたて、制止も利かずヴィストーターは頬にキスをした。


 天使や女神の書かれたステンドグラスが、七色の光となり大聖堂に射し込む。


 神聖な場所で、ルカ以外の人に…………

 頬は、挨拶のキス。

 なのに、すごく背徳の行為に思えた。


 
「サクナはいい香りがするね、ここがサクナの感じるところ? 陛下の印が付いてる」


 頬に口づけをしたヴィストーターの顔が首筋に移り肌に吐息を感じるほど近く。
 そのまま、うなじに唇を落としチロッと舌で舐められる。


「…………っ、や、な、ヴィストーター様っ!」

 
 ぞぞぞっと、身の毛がよだつほど寒気が走る。
 そこが、とてつもなく気持ち悪い…………

 彼を押しのける手に力が篭りググっと押しのける。それに反応したわけではなく、ヴィストーター自身の意志でその場から離れてゆく。


「震えてる、感じた?」


 ヴィストーターは、分かった風に茶化しながら言う。やはりからかわれてるのだと知る。

 


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