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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第13章 ~花嫁の苦悩~
「陛下は……私の為に、補佐官を抱かなかったのです。それなのに私が陛下を裏切る訳には行きません」
自分勝手な言い分なのは承知。
だけど、ルカはヴィストーターの事を気をつけろと言った。こんな事を知れたらきっとルカは傷つく。
サクナは震える躯を堪え、気を強く持つ。
狼狽えてる場合ではない。
相手がそういうつもりで交渉しようとしているのなら、こちらは毅然としなければ……と。
「幼い顔して冷静なんですねサクナは、しかしそれじゃ納得できない。陛下しか知らない君にもっといい事教えてあげよう」
蒼い瞳、淡い金色の髪。
ルカに似てるなんてどうして思えたか。
ヴィストーターは、頬を支えた親指をサクナの下唇に当てる。
「力抜いてごらん」