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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第13章 ~花嫁の苦悩~
「ヴィスト、サクから離れろ」
広大な大聖堂に響くほどの声、姿を見ずとも誰だかわかる。
長い身廊を駆け寄るルカは上半身はスタンドカラーのみでクラバットも着用してなかった。
いつも王宮の外に出る時は盛装姿なのだが。
ヴィストーターはサクナを離しルカの方を見る。
「意外に早かったですね陛下」
まるでルカがこの場に来ることを知っていたかのような口調に、やはりヴィストーターはからかっていただけだと知る。
ルカはサクナの手をとり抱き寄せる。
「サクには手を出さない約束しただろ」
「手は出してませんよ、まだ」
嘘、あんなとこ舐めたくせに…………
サクナは、ルカに抱かれた安堵からか急に力が抜けたようにその場から倒れてしまいそうになる。
寄りかかるサクナにルカも気づいたのか、その腕を強めた。