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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第13章  ~花嫁の苦悩~


「こんなとこで何してる。俺の信用を壊す気か」

「まさか、逆ですよ。サクナが陛下の妃に相応しいか確かめていただけですよ」


 アレが……そうだと言うのか。

 確かにヴィストーターは、そんな風なことを言っていた。だからと言ってあんなこと、とサクナは彼に対して不信感しかない。


「お前に確かめてもらう必要はない、サクは俺が望んだんだ。こんな真似もうするな」

「わかりましたよ陛下。ごめんねサクナ」

 ルカに向けていた視線をサクナに向け、ニコッと子供が悪戯を謝るような軽い謝罪。

 きっと、本当に悪いと思っていない、そんな不誠実さが見えた。

「でも、僕を試してみたかったらいつでもどうぞ」


 悪びれる様子もなく、シレッというヴィストーターに、サクナは怒りを通り越し呆れてしまう。


「…………ヴィスト、俺を怒らせたいのか」

「はは、冗談ですよ陛下」


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