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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第13章 ~花嫁の苦悩~
薄いスタンドカラーからルカの筋肉質な硬い感触が、ゆっくりと振動する馬上から伝わる。
ゆりかごに揺られてるような心地よさ。
────不思議、ルカといると本当に落ち着く。
疚しい気持ちを抑えながらもサクナはその温もりを感じる。
「あ……サク」
「ん?」
彼の胸元から見上げるルカは、優美で艶めいて見えた。それが、ドキドキと心音を早める。
抑えていた感情が一気に高鳴る。
────キスしたい…………
何度目かの『こんな時に』を押し切り、サクナはごくんっと息を呑む。
「ごめん、速度上げていい」
サクナはハッと自身の欲望に恥ずかしくなる。
それを押し隠し、少しこわかったが何やらルカは切羽詰まったように言うので頷く。
公務の途中で抜け出してきたのかも知れない。
瞬間────馬は大きく跳ねた。
その振動と速さにサクナはこわくてルカに更にしがみつき、淡い感情も風と共に去りゆく。
「…………はぁ」
そんななかルカの溜息が洩れた。