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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第13章  ~花嫁の苦悩~



「サクを護ってやれなかったから。嫌な思いをさせてしまったのに、俺がお前に触れることなんて出来ないよ」


 だからルカは優しすぎるんだ。

 悟りを開いた聖人のようなルカ。
 ルカの気持ちが、サクナにわかるわけがなかった。
 
 サクナはルカが悪いなんて思ってもいない。

 ヴィストーターの事は、自分の不注意でしかない、ルカは気を付けろと警告してくれてた。


 全てサクナの完全な空回りだった。


「だから湯浴み……なの? ルカが触れたくないのには変わりない。それなら優しくしないでよ」


 ルカの気持はわかった。

 サクナが嫌な思いをしたから、湯浴みで、躯を清めようとしてるのだと。

 ルカが触れたくないのではなく、サクナを気遣ってのことだった。


 でも、結局サクナにとっては同じこと。
 ルカが触れてくれないのには変わりない。


 そうとも知らず、ルカに欲情した自分がすごく愚かで滑稽に思えた。

 サクナ自身も『こんな時に』と、思っていただけに、自分こそが戒めをせねばならないのではないかと心を痛める。


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