この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第13章 ~花嫁の苦悩~
「…………怒ってないよ別に」
「そんなことないだろ、泣くほど嫌だったんだろ? 無理するな」
空回り、まだそれは続いていた。
サクナが、ルカの意を理解できなかったように、ルカもまたサクナの気持ちなど知る由もない。
言うべきか、言わざるべきか。
悟りを開いた聖人のような振る舞いをするルカを前にして、淫らな気持を抱いていたことを。
────馬鹿みたい…………ひとりで空回りして。
挙句、ルカを困らせている。
幾分、色んなことがあり少しは成長したと思っていた。ヴィストーターのことも最終的には呆れてしまえるほど広い心を持っていた。
だが、ルカのことになると冷静になれなかった。
嫌われたと思い泣き喚いて、触れてくれないことが不安になり、寂しくて虚しくて。