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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第13章 ~花嫁の苦悩~
首に回された腕。ピタっとくっつくおでこ。
ルカの脚の間に挟まれ、長いまつげが見えるほど近く、蒼い瞳はいつものルカだった。
「どれほど馬上でサクにキスしたかったか」
「…………私はして欲しかった」
そしたらこんなに悩むこともなかったのに。
そう思いながらも『こんな時に』触れてしまいたくなる唇がウズウズする。ほんの少し顔を寄せればくっついてしまいそう。
「だけどさ、男なら我慢しなきゃならない時もある……だろ?」
「……だろって言われても」
ルカはジッと見つめる瞳を細め、ブロンドの髪を揺らした。
触れるか触れないか、唇の引力に負けどちらからともなく合わさってゆく。