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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第14章 ~それぞれの幸せのかたち~
サクナはルカの手をとり、先ほどルカのしてくれた手のマッサージを施す。
湯の中でちゃぷちゃぷと音をたて、ルカの指と自身の指を絡め親指で手のひらを揉む。
「ルカ、何か欲しいものある?」
「ん? そうだな……今、望むのはお前と俺の子かな?」
浴槽にもたれながらサクナを抱いていたルカは、半身を起こしサクナのこめかみに愛しげにキスをした。
「……そっか」
「ん? あれ、サクは違うの」
嬉しげにそう言うルカに対して心ここに在らずなサクナ。
ルカは覗き込むようにサクナを見て言った。
「あ、ううん。そうじゃなくて……」
もうすぐルカの誕生日。
その日はふたりの挙式の日でもある。
サクナはルカに何か贈り物をと考えていたのだが、そればかりはコウノトリの気分しだい。
勿論、サクナもそれを望んでいる。
サクナのやれることは……言うまでもなく、である。
「ルカ誕生日でしょ? 何かあげたいなっと……ま、陛下がお気に召すような贈りものなんて私には無理何だけど……」
「物欲はあまりないからな……そう言うのは気持ちの問題だろ? 俺はたとえ一輪の花でも嬉しいよ?」