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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第14章  ~それぞれの幸せのかたち~

 シレっとそういう事を言えるのがルカの良い所だと思う。その言葉に偽りはないのだろう、ルカは高価なものより気持ちを大事にする人。


「そっか……じゃあ。好きな食べ物は?」

「おまえ」


 そして、こういう事もシレっと言う。
 本気か冗談なのかは、判断しかねる。


「サクほど旨いものない、お前が一番旨い」


 ルカはサクナの耳裏をペロッと舌で舐め、唇で耳朶を摘む。

 自分は食べ物ではない。と、怒るべきなのだろうか。しかし、甘くそう囁かれ喜んでしまうのも事実だった。


「……っふぅ、んぅ」

「甘い声は最高の調味料……はぁ、まじ旨い」


 ゾクゾクっとするような甘い吐息を混じらせたルカの声もサクナの心を虜にする。

 くちゅくちゅと水音が脳に響けば、サクナは冷静ではいられなくる。

 背中に感じるルカの体温、抱かれる腕に体躯が火照りだす。


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