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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第14章  ~それぞれの幸せのかたち~


 湯殿を出た頃、あたりは夕焼け色に染まっていた。


「喉乾いただろ」

 ルカはサクナを横抱きにし、冷たい水の入ったグラスを口元に持ってゆく。

 サクナが手をグラスに持っていこうとすると、

「だめ……俺が飲ませるの」

 ルカはグラスを傾けサクナに水を飲ませる。

 ひんやりとした水が口腔に潤い、乾いた喉を通ってゆく。


「んぅ……っ、つ、冷たい」

「零したの……もう」

 ルカが無理やり飲ませるから……
 そう言いたかったがルカはお構いなしに口づけをしてきた。

「ふぅ……っ」

 冷たくなった口の中で触れたルカの舌はいつもよりも熱く感じた。ヌメった舌はあらゆるところを舐め、冷えたサクナの口腔に熱を灯す。

 息を継ぎ、角度をかえ口づけをしているうちに、冷えた口の中はルカと同じ体温に溶け合う。




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