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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第2章  ~愛してるって言って?~

 笑顔を引きつらせると良からぬことになるのかとサクナは首を傾げる。

 咄嗟、執事長は、サクナを抱き寄せ顎を掴む。
 ピタリと体躯は止まり、サクナは戸惑いを見せる。

「な、何をっ」

「ダンス中、このような事もあるかと」

 サクナは、執事長の腕を振りほどき体躯を離した。

「さすが……姫様、からだに似合わぬチカラがありますね。しかし……そのような断り方はよろしくありません」

「あ……わざと、ですか?」

「ええ、陛下の婚約者である方に手を出すわけがありません。しかし、万が一という事もありますから。姫様にはやんわりと断る方法を教えましょう」

 と、執事長は再び抱き寄せてきた。
 講義とわかっていても、ダンスのレッスンならともかく陛下以外の男性と密着するのは嫌だ。

 そう、サクナがまた表情を歪めた時────


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