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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第2章  ~愛してるって言って?~

「よし、サク………」

 ルカはサクナを抱き寄せ顎に手をあてキスをした

「…………っ!」
「ダメじゃん、キスされたら」

 それまで、陛下としてのルカだったが、表情も口調もサクナのよく知るルカだった。

 和らいだ瞳をほそめニカッと悪戯ぽく笑う。


「陛下。それは無理かと、そのような速さでは誰も拒否できませんよ。ね、姫様」

 見られた、人前でキスをするなんて。
 サクナは顔を真っ赤に染め俯く。穴があったら入りたい気持ちになる。

「可愛いなサク、間違っても他の男にそんな反応するなよ?」

「…………知らないよ、そんなの」

 何故ルカは平然としていられるのか、もしやなれてる? サクナはふとそう感じた。

 ────なれてる、そう、ルカ様はなれてる

 きっと他の女性にもこんなことするんだとサクナは、不覚にもこんな時に気づいてしまった。女性に興味がないと噂のルカだが、この様な舞踏会では挨拶がてらするのかも知れない。

 だから、護身術が必要なんだ。

 納得するようで、どこか寂しく思う。

 ────ルカ様は、陛下だもん。そうだよね

 良くも悪くもサクナは陛下としてのルカをあまり身近に感じなかった。ただ、漠然とした遠い存在としての陛下を思い描くだけで、改めてルカは陛下なのだと感じる。

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