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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第15章  誕生祭 ~舞踏会の華たち~ (前編)


 眼に映る範囲からケイルは消え、ジャバジャバと水音を立て再び、やや赤みの入った薄い金の無造作な髪を揺らしタオルをベタっとサクナのオデコにあてた。

「ひやい……あの、ルカ? これは?」

 いまいち自分の置かれてる状況がわからず、サクナはルカを見据えた。

「サク……熱があるみたいだから……体調崩したのかもしれない」

 ルカは手をギュッと握りしめ、心配そうな瞳でサクナを見ていた。


 朝とはいえ、真夏の気温はそこそこ暑い。
 そんな中サクナは冬着のナイトドレスを纏い更にはガウンを羽織らされ、上掛けはやや重みのました羽毛布団がかけられていた。

 熱があるなし以前に暑くて敵わない。


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