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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第15章 誕生祭 ~舞踏会の華たち~ (前編)
「やれやれ、過保護だなルカは。俺は執務室で待ってるから」
愚痴をいい、ケイルはそのまま寝室を出ていった。
「あんなこと言って……自分だって心配してたくせに」
「兄様の言う通り、ルカが心配しすぎだと思うけど。本当にだいじょうぶだから」
健康だからこそこんなに汗をかいたんじゃないかとサクナは思いつつもこんなに心配してくれる気持ちを邪険にするのも気が引けた。
「……僅かな香りの乱れ……正常じゃないのは確かだよ。それともサクは俺のことが信用できないの」
「そんなこともわかるの?」
「あぁ、毎日香りは変わるからな。記憶するために朝はサクの香りをたんまり嗅いでるよ?」
それはそれで恥ずかしい。
「体外だと、ここが一番感じる……はぁ、ほんとサクはいい香りだよな……」
────ホントいい香り…………
サクナのうなじに鼻先を持ってゆくルカの首筋から、ふぁっとルカの甘い香りが漂ってくる。