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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第15章 誕生祭 ~舞踏会の華たち~ (前編)
今日はサクナが社交デビューをする舞踏会の日。
国王陛下の誕生祭を祝うお祭りが一週間ほど続く。
あれから補佐官のミモリとは広い王宮ないで出会うことはなかった。
貴族の令嬢たちも話し掛けて来ることはない。
王宮では、静かなものだった。
ふたりを祝福し、言葉をかけて来るものもいるが心からそう言ってくれるものはまだ少ない。
シーボルディ家は、古くから陛下に愛され続けている。祈り姫と陛下の関係は何かと王宮ないでは疎まれることが多い。
星に寄生する、凶暴で残酷なヴァミンそれを抑えているのが祈り姫。
祈りの象徴として、それが当たり前となった今では、祈り姫に感謝することもない。
あまつさえには、祈り姫が本当にヴァミンを抑えていることを知らぬものもいる。
王族や貴族たちは爵位こそ高貴な血筋であり、それを誇りに思っている。
爵位を持たぬ田舎娘、それがサクナ。
治癒術を得意とする祈り姫は王宮の医術担当ぐらいの認識なのである。
最も、その治癒も平和となった今ではあまり使うこともないのだが。
「舞踏会を休むつもりなら別に構わないけど」
ただでさえ、受け入れてもらえてないのに舞踏会に参加しなかったら、何を噂されるかわかったものじゃない。