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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第15章 誕生祭 ~舞踏会の華たち~ (前編)
後宮に入ると、ユイナを初めとするたくさんの侍女が出迎えた。
サクナは侍女たちに言われるがまま、沐浴を済ませ現在は大きな鏡の前で髪の水分を拭き取ってくれている。
手や脚にオイルを塗付けマッサージを施す。
爪先までも磨かれ、サクナはそれだけでどっと疲れを感じた。
「姫様、髪飾りはどれになさいますか」
宝石が散りばめられた眩いばかりの宝飾。
その中に淡い金色の花飾りが目に付く。
宝飾は少なめだが、薔薇のように何層にも布を重ねられたその花飾りが一番綺麗に見えた。
ユイナは丁寧に髪を梳き左右にその髪飾りを着けてくれた。
「やはり姫様はこれを選ぶのですね」
鏡越しにサクナは、ん? と尋ねると。
「他の宝飾は王族からの御祝品です。この花飾りは陛下からです」
知らずとはいえ自然にそれを選んだことが少し恥ずかしく思う。