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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第15章 誕生祭 ~舞踏会の華たち~ (前編)
「社交界は華やかなイメージですが、その本質は女性の戦場とも呼ばれています。口さがない人達も多く、姫様のことを妬む令嬢もいるかと思われます」
どうか気になさらぬようにと、ユイナは話しかけてくれた。
舞踏会には令嬢だけではなくたくさんの貴族が集まる。
陛下が傍に居てくれる間はいいが、一人になることがあれば気をつけてくださいと。
ユイナや、数名の侍女はサクナとともに舞踏会が開催される宮殿に入るが、控え室までのこと。
ケイルも護衛として付き添うが、令嬢たちに囲まれれば一歩引いた場所で待機するのが役目だとか。
「ありがとうユイナ、だいじょうぶ……とは、いい難いけど、私立ち直りは早いほうだから」
些細な事ですぐ落ち込むけどと、サクナは苦笑しながら言った。
「…………姫様、代々王妃様は名のある公爵家から選ばれていました。誰が見ても申し分ない令嬢でしたがそれでも妬む方はいるのです。中には塞ぎ込み社交界から遠ざかる王妃様も少なくありません」
爵位の持たぬサクナには、それ以上の批判があるやもしれないと。