この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第15章 誕生祭 ~舞踏会の華たち~ (前編)
「…………」
後宮の王妃の部屋である【無花果の間】に静けさが訪れた。
侍女たちは一斉に立ち上がり礼をする。
────やばい…………っ!
サクナは目の前にいる陛下である、ルカに見とれて言葉を失った。
いつもはサラサラな輝くブロンドの髪をキッチリとまとめより眩しく。
国王だけが着ることを許される煌びやかな盛装は、ルカをより大人っぽく見せた。
「…………ハァッ、お前はいつも俺を驚かせるな」
ため息混じりでルカはサクナに近づくや否や、ドレスの裾を捲りあげた。
「っ! な、何してるの!?」
「……っと、急に動くなよ。倒れたらどうするんだ」
ドレスを抑え後ずさりしたサクナの腰をつかみ自身に引き寄せた。
「可愛い……コレ着けてくれたんだ。いい香り、花の香りがするから本物の花みたいだ」
「ちょ、ちょっとルカ……」
頭をルカの胸に抑え込み、サクナの花飾りに鼻先を持ってゆく。
完全に密着状態である。
数十人はいる侍女たちの前で…………
いつも驚かせるのはルカの方だとサクナは言いたい。