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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第15章  誕生祭 ~舞踏会の華たち~ (前編)


 みんなの前で振る舞う陛下はいつもの明るいルカだった。

 その笑顔の奥には色んなことを抱えている。
 コスモ国のことも気になるが、それよりも何よりも今ルカを抱きしめたかった。


「ルカ……」

「ふたりきりになると急に甘えるなサクは」

「人前ですることじゃないもの……」

「じゃあ、人前で出来ない事しよ?」

 ルカはサクナを抱えソファに腰をかけ膝の上に乗せ、横抱きに座らせた。


「なあサク。お前に大事な話がある」

「ん? 何……?」

 いつになく真面目な表情。
 ルカだけではなく皆がそういう面つきで話始める。それが、王妃になるんだと実感させられる。


「サク…………体調はどう?」

「だいじょうぶだよ、どこも悪くないよ」

「そっか……なら、良かった。ごめんなサク、心配しすぎで逆に気を遣うだろ……サクの躯を思えば心配するより、心の支えになってやらないとダメなのにな」

 ルカは落ち込むわけでもなく、やや眉尻を下げ表情を和らげた。

 ルカのことを思えばその気持ちが今ならわかる。
 彼自身も気にしてるのだと……

「平気、兄様も言った通り健康だけが取り柄だから」

 サクナはちょっと茶化しながら言った。
 

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