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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第15章  誕生祭 ~舞踏会の華たち~ (前編)


 星には、ふた国の他にいくつかの国がある。 

 此度、陛下の婚礼の儀を行うにあたってコスモ国が参列したいと申し出た。

 当然、ルカは問答無用で却下した。

 しかし、和平を結んでいるにも関わらず敵対心を見せるのは、本当の和平と呼べるのかと最もらしいことを言ってきた。


「コスモ国だけじゃない。ほかの国も同じことを言っている。何より平和を望むリキマシア国が独立国であることが気に食わないらしい。よそ者を受け入れはしないが、俺たちは他国を自由に行き来出来るからな」


 外壁を通るにはリキマシア国境の厳しい審査が必要だった。例え他国の者だとしても、コスモ国の間者の恐れがあるからだ。


「俺たち術者はこの星で畏れるほどの力を持っている。リキマシア国が戦争を起こせば他国は無事では済まないからな」

 強きものが力を示し他国を牽制する。
 自国にとっては頼もしき力だが、他国にしてみれば畏れの対象であり妬みを買う。

「でも、それじゃ……ほかの国が同盟したら、リキマシア国は敵だらけになってしまうんじゃ」

 ルカは頷いた。
 例え、リキマシア軍が他国より強い力を持っているとしても、それは一部の軍にすぎない。

 リキマシア国にもちからなき者はたくさんいる。

 王宮は無事に守れても、全てを守るには流石に不可能。


「和平を望み、戦争を起こす気がないことを証明して欲しいと他国からの要請だ。本来リキマシア国も代々国王の挙式には諸国の者たちを招待している」

「…………昔は外壁がなかったものね」

「ああ、こちらの言い分もちゃんと伝えた。要は信用してないと言ったのと同じだ。納得するわけがないよな」

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