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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第15章  誕生祭 ~舞踏会の華たち~ (前編)


「でも……今のお前に無理はできない」

「心配? 確に私は戦うチカラは無いけど…………」

 人を傷つける事を嫌う祈り姫は例え正当防衛であったとしても、限りなく人を傷つけてはならない。

 祈り姫のチカラは治癒と障壁。
 護るためのものであり、傷つけるものではないからだ。

 それにルカやケイルが居れば例えどんな事があっても護ってくれる。その信頼はある。



「…………そうじゃない。こんな時に……本当は言うべきことじゃない。だけど……サクは知らなきゃならない」


 ルカはジッとサクナを見据えた。
 切なげに、苦しくも見えるその表情。

 端正なルカは普段から年の割に大人びて見えるが、今日はいつもと違うせいかより眉日秀麗に見える。

 サクナはあまりの緊迫した様子にごくっと息を呑む。


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