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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第15章 誕生祭 ~舞踏会の華たち~ (前編)
「…………あ、いざとなると……はぁ」
「な、何?」
「サク……」
ルカは少し躊躇いつつ言葉にした。
「お前のお腹には生命が宿ってるかも知れない」
「へぇ!?」
本当にそれは突然のことだった。
ルカはいつになく真剣な眼差し、しかしサクナはポカンとルカを見ていた。
あわわっと口を小刻みに動かし、何か言葉にしなければと。しかし何を言えばいいのか…………
ルカはスッーと息を吸いゆっくりと吐きだす。
「ケイルから報告を受けて俺は確信したけどな。サク……ちょっと複雑、本当はまだ言うべきじゃないのは承知だけど、そうも言ってられない」
「ほ、本当に?」
ルカはまぶたを閉じ頷き、再び開いた蒼い瞳で微笑んだ。
「ごめん……どうしても顔がニヤけてしまう。そんな状況じゃないのに……はぁ、ダメだ。俺、それに気づいてすごく嬉しくて……でも、ああ、サク」
ルカは歓喜に震えた声でサクナに抱きついた。
未だ、状況を把握できないでいるサクナは目をパチクリと繰り返すばかりだ。