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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第15章 誕生祭 ~舞踏会の華たち~ (前編)
今のリキマシア国の医療技術では着床より少なくとも二週間、もしくは予定日の遅れでしかその判断は出来ない。
予定日の遅れは個人差がある。
健康体のサクナは月ものの遅れ等もなく、予定日が過ぎればほぼ確定だと思われる。
「もしヴァミンの出没お前の体調不良によるものなら、もっとお前自身が異変に気づく。でも、そうじゃないとしたら…………可能性は否定できない」
サクナに限ってのことだが、祈り姫として全盛期のサクナはヴァミンを完全に抑えることが出来る。
今日は朝早くに出かけたにも関わらず、ヴァミンが出没した。だから、サクナは体調不良なのかもしれないと思った。
「よ、喜んで……良いのかな……」
可能性だけだとしても、ルカの子を宿ったかも知れない。それだけでも嬉しくなる。
そんな状況じゃないのは百も承知だ。
「当たり前だろ……ありがとうサク」
ルカはふっと笑い、サクナを再び抱きしめた。
単純なものでそうだと訊くとお腹がやけに暖かく感じる。ここに生命が宿ってる……愛すべき人との間に恵みを受けたんだと。