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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第16章  誕生祭 ~舞踏会の華たち~ (後編)


 ナーシサス公爵は、ルカの叔父の公爵家の名だ。
 公爵夫人ということは…………補佐官であるミモリの母である。


「姫様、此度は娘が迷惑をおかけしまして申し訳ございません」

「あ……いえ……」

 深々と身を屈める夫人にサクナも突然のことに萎縮し戸惑う。


「どうしても一言お前に詫びたいと、補佐官の事は彼女自身の問題だと言ったんだが……」

 ルカも少し困ったようにサクナに言った。
 その様子から詫びる事を断ったのだろうとサクナはわかった。

 実際、問題は娘で母親にまで謝ってもらう程のことではない。…………普通なら。


 しかし問題はそんなに簡単なことではなかった。


「ここじゃ何だから向こうに行こ」

 と、ルカはサクナのグラスに水を足し、腰に手を回して王座のある場所までゆく。

 そこにサクナを座らせ自身も隣に座る。

 ナーシサス公爵夫人は会釈をし近くまで来る。



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