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第16章 　誕生祭　~舞踏会の華たち~　(後編)

　ナーシサス公爵は現時点で王位継承第一位。
　陛下は信用をしているからこそ、国の要である国境を任せている。

　当然、今回の諸国の問題も話が言っているのだろう。娘の裏切りは、父であるナーシサス公爵の反乱とも捉えられる。

　実際、ルカはそれを疑っていた。

　親としては、それだけの問題では済まされない。


「本来でしたら夫が直々にお詫びをしなければならない事ですが……陛下の温情にとても感謝しております」

「叔父殿は、そんなに器用な方ではない。だからこそ関係はないとわかったのです。補佐官の考えは理解し難いですが」


　ルカは苦笑しつつも優しく対応する。

　子を想う気持ち、王族としての立場。
　ナーシサス公爵夫人も辛かったのだろうと、サクナは思った。

「ええ、あの子は思い込んだら猪突猛進なところがあるのは、わかっていたのですが。あの子が陛下に特別な感情があるのなら気持ちがわからなくもないんですが。ヴェロニッカ様の報告書のとおりのことしかミモリは言わないのです」


　補佐官は男女のことを親がとやかく言う歳でもない。しかし、問題は陛下を相手にした事だった。
　そして、サクナが陛下の婚約者と決まったにも関わらず、その行為を改める事無くサクナを精神的に追い込んだ。

　母親として娘を理解しようと話し合いもしたらしく、しかしその感情は夫人自身もわからないそうだ。