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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第16章  誕生祭 ~舞踏会の華たち~ (後編)


「久しぶりだな、サクナ姫。まさかお前が陛下と結婚するとはな」

「…………はぁ、私自身驚いていますから」

 サクナはロータスに苦笑しつつ、少し照れくさそうに言う。

 ロータスは、よく村に遊びにきてはセシュルドと剣の稽古をしていた。
 従兄妹ではあるがロータスもまた兄のような人だった。

「今日はケイルは居ないのか?」

「兄様は、母様を呼びに村に帰っています」

「ん? ……村に? こんな時にか?」

 ロータスの言いたいことは何となくわかる。
 本来ならサクナの両親は挙式の前日にくる予定だった。

 今日、この日に母を呼ぶのはいうなれば不自然だからだ。

 母を呼ぶ理由はサクナが懐妊したかもしれないからで、まだ、確定をしていないため皆には報告はしていたない。


「もしかしてめでたい話?」

「あ……はぁ、まだわかりませんけど」

 ロータスは、切れ長の鋭い瞳を綻ばせ、

「へぇ……サクナ姫がね……そっか、おめでとう」

「あ、ありがとうございます」

「でも……少し残念だな、サクナ姫をダンスに誘えなくなってしまった」

 サクナはポカンっと、ロータスを見る。

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