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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第16章  誕生祭 ~舞踏会の華たち~ (後編)
 

 友好的に見えてもよそでは陰口や噂話をする。
 その者の本心など手に持つ扇で隠してしまう。

「姫様、庭はご覧になられましたか?」

「いえ、まだですが」

「ご一緒に見に行きませんか? 湖を眺めながら見る庭はとても綺麗ですのよ」


 それは興味をそそられる。
 しかし、令嬢たちと見たいなどとは流石に思えない。

 だが、敵意を見せていた時ならともかく、処世術に乏しいサクナは断れるほど強気にもなれない。

 王妃とは皆に親しくするものだから。

 サクナは重い腰をあげ令嬢たちと大広間を後にすることにした。



「やあ、久しぶりサクナ」

 その時、声をかけてきたのは…………ヴィストーターだった。

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