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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第16章 誕生祭 ~舞踏会の華たち~ (後編)

「陛下は身分を振りかざす事無くわたし達どもにも気配りをして下さる優しいお方です。使用人の中にも陛下に憧れるものは少なくありません」
王宮内では使用人が奉仕するのは役目だからと蔑ろにするものも多い。それは、自分が高貴な血であることの誇りであり、本人たちに悪気がある訳じゃない。
使用人も王宮に仕えることは名誉なことだからだ。生活面に置いても優遇されている。
だが、陛下はそういう隔たりを気にしない。
だからこそ皆に慕われる。
「ええ、でも……優しすぎるとも。ねぇ、ユイナ、陛下は公務を蔑ろにしてると思われないかしら」
ルカの優しさは情愛から来るものだけではない。
幼くして両親に先立たれ、ひとよりもその痛みを知っているからこそ優しく気遣ってくれるのだと。
それは嬉しいことであり、一緒に後宮に戻ってくれたことも感謝している。
ルカの気持ちをわかった上でも、やはり気になってしまう。皆に慕われてる陛下だからこそ、ルカが悪く言われるのは嫌だと思った。

