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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第16章  誕生祭 ~舞踏会の華たち~ (後編)


「陛下はもしかしてダンスが好きじゃないのかな?」

「さあ、どうでしょうか。舞踏会も公務として参加されてるようですから。個人的に楽しんではいらっしゃらないようですね」


 公務として……

 陛下もサクナも舞踏会は公務である。

 公式行事の時のルカは確かにいつもとは違う。

 どこか遠い存在のようで、ふわふわとして現実味がなく皆が憧れる陛下。

 でも、ふと見せてくれる笑顔がいつものルカで安心感を与えてくれる。


「今日の陛下は、姫様が初めての舞踏会でしたから随分気にかけておいででした。でも、その表情はとても幸せそうにも見えます。あんなに甘える陛下を見たのは初めてです」

 その陛下はきっとサクナが良く知るルカのことだ。ルカは人目を気にしないのか、ユイナたちの前で恥ずかしくなるほど。
 

「陛下が人前でする事ではないよね」

「別に宜しいかと。わたし共使用人は陛下の幸せを願っていますから、あんな一面を見せてくださるのはむしろ微笑ましく思います」

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