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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第16章  誕生祭 ~舞踏会の華たち~ (後編)


「どうした急に……甘えて可愛いやつ」

 ルカはクスッと笑いサクナの頭を撫でそのまま優しく抱きしめた。

「ルカ……いつもありがと」

「何かあったのか? やけに今日は素直だな」

「もう、いろいろありすぎて大事なこと忘れてた」
「大事なこと?」

 サクナは顔をあげルカを見る。

「ルカの優しさに気兼ねして、感謝の気持ちを伝えるの忘れてた。本当は嬉しの。でもわからないから不安になる。でも……だからこそ、ルカに頼って良いんだよね」

 言葉にするのは少し照れくさい。
 だけど、伝えたいこと、そしてそんなルカを抱きしめたかった。

 自分は強くなんかない。
 だからぐじぐじと悩む。もし、強く見えるのならそれはルカが傍に居てくれるからだ。


「…………参った」

 ルカは言葉を呟き、照れくさい表情を見せるサクナの唇を奪う。

 抱きしめる腕により力が篭り、しっとりと重なり合う唇、互の体温がじんわりと伝わる。


 
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