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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第17章 ~久しぶりの再開、そして~
「ハートだ」
ルカの前にクッキーの包みを広げ差し出す。
彼はクッキーをマジマジと見つめている。
何となく、そのあからさまな形に恥じらいを感じてくる。余りにもルカが凝視しているからだ。
「食べないの?」
ルカはクッキーから、サクナに視線を移す。
「どうせなら食べさせて欲しいな。ハートだし」
ニコッと笑顔でおねだりする。
その理由は、わかるようでわからない微妙だった。
サクナはクッキーを手に取り、ルカの口に運ぶ。
「手? 口移し……っ」
サクナは問答無用でルカの口にクッキーを放り込んだ。
ルカはフッと笑い、サクサクと軽快な音をたてクッキーを食べる。
ごくんっと呑み込み、ルカは満足そうな嘆息を洩らす。
「ごめんサク……月並の言葉しか浮かばない」
「月並?」
「幸せの味だ……旨いよサク」
────月並なんだ……その言葉。