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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第18章 ~混迷~
至って冷静なケイルと、ふふっと嬉しそうな笑顔を向けるジュリアンの元にゆき、サクナはソファに腰をかける。
家族の前で照れくさくもあるが、嬉しそうなルカの笑顔を見ると、やはり、この幸せが続くことを願ってしまう。
ジュリアンが話の中心となり、村のことや、家族の話、色んな話をした。
ほんのりと、空が夕暮れに染まる頃────
「ん……?」
ケイルは、ピクっと何かに反応するように部屋の壁を見た。
「どうしたの?」
と、サクナがケイルに問いかけた時、静かだった後宮にほんの僅かに何かが破裂する音が聞こえてくる。
それは、広い後宮内……そのどこかで、確実に大きな音をたて、それがこの部屋にまで届いた。
そう、考えるのが一番わかりやすかった。
が、同時にそうなる状況が理解できないのだが。