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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第18章 ~混迷~


「それなら私も行く」

「ダメだっ、危険すぎる」

「……わかってる、でも、そうしないと兄様は動けないでしょ」

 ケイルは立ち上がり、サクナを見た。

「ここを離れるな……ルカもこの異変に気づいているはずだ。それと結界を張っておけ」

 ルカは今ここより遠く水辺の宮殿に居る。
 早馬で駆けつけても少し時間がかかる。

 サクナが頷くのを確認しケイルは部屋を出てゆく、その後を侍女もついて行った。


 この後宮で、何が起きているのか。
 サクナは嫌な汗が滲みでてくる。

「サクちゃん……結界を」

 和やかな母も緊迫した表情でサクナに言う。

 ほんとうにヴァミンが現れたとしたら、結界も意味があるのかわからないが。

 王宮や、街、村。全て人が住まう場所には既に結界が張ってある。何事に置いても絶対など有りえない、ヴァミンが結界を破って侵入してくることもゼロではない。

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