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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第18章 ~混迷~


「姫様……」

 心配そうにユイナはサクナの傍にやってくる。

「サクちゃん……祈りましょ。みんなの無事を」

 こういう時こそ冷静になれ、それは父の教えだった。サクナは手を合わせ祈る。

 状況は把握出来ないが、ヴァミン退治なら兄はプロだ、それに爆破音が聞こえると言うことは少なくともそこに術者の存在が居る可能性がある。

 ジッと、サクナたちは部屋で祈り続けた。


 ────その時

 ついには無花果の間にもヴァミンが出没する。
 姿を確認するするや否や、ヴァミンがサクナたち目掛け飛びかかってくる。

 ダンっ! と、ユイナはサクナの前に立ち塞がり襲いかかったヴァミンを蹴り飛ばした。

「ユイナ」

「姫様……ジュリアン様の傍に」

 ユイナはマイセンのソーサーを割りそれを手に握る。

 ヴァミンは、打撃では霧に帰す事は出来ない。
 壁に激突したヴァミンに、ユイナはソーサーの欠片でヴァミンを刺す。

 黒い渦となりヴァミンは霧と消えた。

 
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