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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第18章 ~混迷~
「説明不足すぎますね、是非、詳しく訊かせて頂きたいものです」
その声に、皆が注目する。
落ち着いた物言いで部屋に入って来たのはヴィストーターだった。
ミモリと騎士が振り向いた、僅かな隙をユイナは見逃さなかった。
ユイナは剣を構えた男性の腕を蹴りあげ、腹に肘を喰らわす。無駄のない動きで男性の腕を拘束し剣を奪った。
「ヴィストーター様、姫様を!」
「させませんっ!」
その時、ミモリは腕を掲げる。
だが、ヴィストーターはミモリの腕を掴みそれを阻止する。
「どこまで罪を重ねるつもりだ……」
「ぐっ、ヴィストーター様が何故……ここに」
ヴィストーターはミモリを監視しするように陛下に頼まれている。そのヴィストーターがこの場に居る事が信じられない様子だった。
「僕の役目はあなたも存じてるはずだ」
「うつつを抜かしていたクセに、そう油断させたのはあなたの方だったのね」
ミモリは表情を歪め、吐き捨てるように言った。