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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第18章 ~混迷~
「何故、こんなことを。大人しくしていれば陛下も許して下さったのに」
「……あなたには、関係ないことだわっ」
冷静な物言いをするヴィストーターに、ミモリは感情をあらわにし、掴まれた腕を振りほどこうとする。
「関係ないなどと……僕もじゅんぶん巻き込まれてると思いますが?」
「わたしが頼んだわけじゃないわっ!」
「ええ、ですが何故、その野望を捨てなかったのです。陛下を怒らせてあなたに何の得があるというのです」
「…………あなたたちに、わたしの気持ちなどわかるわけ無い!」
ミモリが抗うなか叫んだ時、四方より黒い渦の中からヴァミンが現れる。
「サクちゃんっ」
迫りくるヴァミンに、ジュリアンはサクナを庇い障壁を張る。
ガンっ! と、見えない壁に苛まれ、あたりに花びらが舞う。
しかし、サクナとジュリアンには戦う術がない。
「ちっ」
ヴィストーターは、舌打ちをし拘束していたミモリを離しヴァミンに術を放った。