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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第18章 ~混迷~
「本当に、あなたが……」
自分で言っておきながらなんだが、実際に目の当たりにすると、それはにわかに信じ難い光景に変わる。
「そんなに驚くほどの事でもありません。想像しうることは現実となる。現実は小説より奇と申すでしょ?」
皆が訝しげにミモリを見るなか、クスリと彼女は笑いながら言う。
「王宮を襲っているヴァミンも?」
「ええ……」
「王宮の外にも?」
「いいえ、目的を遂行するためですから、民にはなんの関係はありません」
関係ない……無駄な事はしない。
しかし、既にミモリは身勝手な事をしている。
自身の目的のため、無関係な人達を襲っているのだ。そんなこと許される行為ではない。
「目的とはなんなのです。内乱でも起こすつもりですか?」
「……それは違うわ、陛下に恨みがあるわけじゃない」
その言葉にどれほど真実味があるかはわからないが、ミモリのしていることはどう考えても陛下への裏切りでしかない。