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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第18章 ~混迷~
「ヴィストーター様っ」
ヴィストーターは、辛そうに表情を歪め息を切らす。サクナは治癒をかけようとヴィストーターに触れる。
「ダメだ……サクナ……っ」
「お人好しばかりね、本当に護りたいのなら優しさなんて必要ない」
ミモリはサクナの腕を取り、ヴィストーターから離してしまう。
「離してっ! ヴィストーター様が……」
「動かないで……抵抗するなら、止めを刺します」
サクナに変わりジュリアンがヴィストーターの元に行こうとしたが、その足を止める。
サクナは、グッとミモリに睨みつける。
「人に術を放つなんて……あなたは何がしたいの」
人と争うことを禁じているリキマシア国では、人に攻撃術を使うことをタブーとしている。
「素直に従えばこうはならなかった。忠告はした筈です」