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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第18章 ~混迷~


 既にミモリは正気ではない。擬似ヴァミンを操り、躊躇する事なく人に術を放つなど。

 もはや何を言っても無駄だ。


「わかった……でも、お願い。ヴィストーター様に治癒をさせて。その後はあなたの好きにしたらいい」


 サクナは自分でも驚くほど冷静だった。
 傍には今にも意識を失いそうなヴィストーターが苦しみの表情をしている。

 ────ヴィストーター様を助けなければ。


 どの道、ミモリは自身の目的を実行するためにはもはや手段を選ばないだろう。

 術は障壁で防げる、だが、効果は一度だけ。
 王家であるミモリは無詠唱で術が使える、不利なのはサクナたちのほうだ。


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