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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第19章 ~歪んだ愛慕、愛執は星を狂わす~
しかし、現実はその願いから遠ざかる。
今や、ヴァミンより畏れるのは人だ。
「だから、お前はリキマシア国を裏切ったのか」
「……そうじゃありません。裏切った訳では……」
コスモ国に肩入れし、リキマシア国に混乱を招いた。そして、祈り姫であるサクナを連れ出そうとまでした。
それすらも、ミモリと言う『多少の犠牲』とでもいうつもりなのか。
「コスモ国王もエネルギー問題には、頭を悩ませています。術者のチカラがあればそれは解決するのです。今こそ、互いに手を取り合い協力するべきだと」
「その為にサクに犠牲になれと言うのか」
「祈り姫は星の住人にとって平和の象徴です。古代の血筋と象徴があればエネルギー問題も解決の意図がみえると……スオウ様は考えなのです」
散々な嫌がらせをしておきながら、よくもそんなことが言えたものだとサクナはミモリの言葉を、にわかに信じ難い気持になる。
平和の象徴として自分を欲しているなどと、そんな分かり易い嘘がどうして言えるのか。