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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第21章  ~甘い香りに惹かれて~

「これ、アルフェニン?」


 アルフェニンは水と砂糖を煮つめほんの少しワインビネガーを加えて練り固めたお菓子のひとつ。

 色んな形を自在に作れ、主に芸術品として親しまれている。

「ピンクだ、しかも……ハート」

 サクナが作ったのは食用の花を混ぜ色をつけ、食べやすく小さめのものだ。

「疲れたときは甘いものがいいんだって。これなら持ち運びもできるし」

 ルカはひとつ手にとり口に入れる。
 コロンっと、口の中で転がる音がした。

「甘い……幸せの味だ」

 サクナはどうしようか迷ったが、やっぱりお菓子を作って贈ることにした。

 ルカの喜ぶ顔を見てホッとする。

 あの日もお菓子を食べ甘いひと時を過ごした。いわゆるトラウマに成りかねぬ出来事。



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