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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第21章 ~甘い香りに惹かれて~
「じじ様、ばば様」
大聖堂、応接室の間に案内されそこにサクナの祖父と祖母がいた。
ふたりはサクナに微笑み、後ろにいる陛下に恭しく礼をする。
「元気そうで安心した」
くしゃくしゃと長はサクナの頭を撫でる。
その傍らで祖母は、優しく微笑む。
「うん……」
「すみません、ふたりでご挨拶に伺おうと思っていたのですが」
ルカがそう言うと。
「構わんよ、そうなる事はわかっておった。いろいろあったようじゃが、ふたりが仲良さそうで安心したわい」
ほほっと、軽快な笑いを見せる長。
サクナは照れを隠すようにそのことから話をそらそうと、ふたりの会話を遮る。
「じじ様、ばば様。今日は来てくれてありがと」
「可愛い孫娘の晴れ姿を見ずには星に帰れんからの」
村では厳しい厳格な長だが、今日は祖父として優しい笑顔と軽い冗談を言った。