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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第3章  ~偽りの気持ち~

 ルカは、どこか困ったような表情をしながらも、優しく微笑む。

「よく言うよ、手だしたら怒るくせに」

「怒らないよ……多分」

 ルカはすっと立ち上がり、ベッドに腰をかけサクナの髪に触れる。

「俺を惑わせるな……サクは意地悪だな」

 すくった髪にルカはキスを落とす。
 流し目でクスリと笑う彼はやはり優美でサクナの心を惑わす。

「こっちきて、一緒に寝よ?」

「今は……だめ。良からぬ事で頭がいっぱいだ」

 少し冗談ぽく、ルカは言う。
 
「でも、傍に居てくれたんだ」

「傍に居たいのは俺も同じだからな」
 

 その言葉で心が暖かくなる。
 満たされるのに、どうしてかやっぱり触れたくなる。人肌が恋しく、ルカに抱きしめられたいと願ってしまう。

「ルカ……ありがとう」

「ん?」

「私を選んでくれて、ルカが諦め悪くてほんと良かった」

 先の不安より、目先の幸せ。

 だけど、ルカが他の女性とあんなふうに愛し合う事をするのだと思うと嫌だ。それに、あの腕と胸に護られるのも自分ではない。

 それを思うと、後悔しか残らない。

 妃として資格がないかもしれない、だけどもう手放せない。しがみつくしかない、認めてもらえなくてもせめて陛下に恥を欠かせないように、必死に喰らいつくしかない。

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